地下足袋山中考 NO27  
平成2458日提出 要望書回答の要約

 森吉山観光振興協議会で取りまとめた要望事項について、57日に市長面談が実現し取組みや考え方について回答が示されたので報告したい●兼ねてより提案したゴンドラ山頂駅舎周辺の展望所整備は、秋田県市町村未来づくり協働プログラムに基づく計画(観光振興プロジェクト:事業費約6億8千万円)に組入れられ正式決定する見込みとなった。市長は「先送りしない私の決断で森吉山阿仁スキー場を残したことで一連の事業費を呼び込むることができた」と自負。事業内容はロープウエーのワイヤー張替えや電気設備等のオーバーホールと更新が中心、現在の観光案内所は解体し倍のスペースに建替えになるが現状維持の域を超えない計画だ。森吉山を訪れる団体ツアー客はビギナーの高齢者が中心、ロープウエー観光は登山道とトイレの整備が集客の要であるが、敷設12年が経過した登山道整備(複線化や階段工の改修)、阿仁避難小屋のトイレの新設はこの事業に入っていない。本事業の付帯事業として整備を求めたい。森吉山阿仁スキー場の利用客は平成24年冬季が34,552人、夏〜秋季が16,907人の年間約51,000人である。スキー客は3年間で約4千人減少したが夏〜秋季トレッキング客の利用増で穴埋めしている。総延長3,400m級のロープウエーの採算ラインは10万人の利用客が必要とされるが、現状は遠く及ばない。市が森吉山スキー場対策費として運営主体のNPO法人に繰り入れている指定管理料1千万円は実質の赤字補填である。運営努力も含めて事業費約6億8千万円の費用対効果に期待したい●奥阿仁地区は温泉から直結する打当温泉・中村コース登山口の駐車場整備が急務だ。県内水面試験池(イワナ、ヤマメ等の採捕養殖施設)の見学利用と休止した遊遊ガーデンのオートキャンプ場化は山村交流と物産販売の適地である。何よりもシャトルバス期間運行に向けた中ノ又、立又併用林道の改良に加え国道341(八幡平、玉川温泉方面)と直結する県道川辺阿仁線の改良が待たれる●奥森吉は市道大印ノロ川線のゴールデンウイーク開通に向けた除雪体制と市道の改良。皇太子お立台(大印展望台)のパノラマ展望をPRする周回道路の一方通行規制が必要である。奥森吉トラック(太平湖〜小又峡〜ノロ川園地〜クマゲラの森〜桃洞・赤水渓谷〜玉川温泉湯治場古道の復活)の評価と再整備の必要性を求めたが利用動向と費用対効果の見極めに留まった。特に市道大印ノロ川線は毎年4月下旬に除雪が始まり、5月初旬に開通するが建設課サイドは安全管理を理由に61日開通を譲らないため、残雪、芽吹き、新緑トレッキングの案内ができないのである。今年も5月中旬の開通は可能であったにもかかわらず、理由のない半月以上の開かずの門が敷設された状態にあった。観光ニーズと現地状況を把握をしない一辺倒の道路管理に再考を求めたい●東北三県は高速道路網の進展によりすでに日帰圏にある。特にエージェントの団体ツアーはビギナー層が多く、八甲田や乳頭温泉郷、角館、新玉川温泉、盛岡市内の宿泊が目立ち、ゴンドラ観光は日帰りのおまけコースになっているのが現状だ。現地宿泊層はもっぱら森吉登山に奥森吉や奥阿仁トレッキングを加えた小グループや山岳愛好団体の12泊のツアーが宿泊モデルとなっている。宿泊トレッキングプランの定着なくして地元の経済効果は見込めない。しかし市の観光政策はゴンドラ観光を目玉にしたいようだ●こんなボヤキを10年も続けてきたが、地元市議会議員や毎年変わる担当職員との意志疎通と価値観の共有は結構大変である。津谷市長は冒頭「私のような初心者にはこんな立派なトレッキングマップの無料配布はもったいない」との感想を述べたが、他のメジャー観光地のパンフは単行本に匹敵する資料が届く。ぐるっと森吉山トレッキングマップは1枚で四季のフィールドを紹介した北秋田市の名刺である。市内の観光施設、全国のアウトドアーショップや旅行エージェントに速やかな配布をお願いしたい。市長の全般的な答弁は控え気味で「マップに示された森吉山麓全域は把握していないが提案は利用者ニーズと費用対効果を見て再検討したい」と言ったところだろうか●人間は「観たい・体験したいモノ」があれば時間と資金が許すなら地球の果てまでも行く、それが観光である。マイカーやヘリー、新幹線や飛行機を乗り継ぎ600qも移動し北秋田に足を運ぶ魅力ある資源は何か。全国と勝負し外貨を稼ぐ観光素材は何か。決して市民公園でも神社仏閣でも地産地消行事でもない。それは既に発見されてしまった森吉山麓のあまたの自然素材である。私たちはそれを磨き上げ、良さを伝え、呼び込むための地道な作業を積み重ねるしかない。森吉山観光振興は未だ10周遅れのトップランナーではあるが、壮大なる大人の遊び場を提供できるネイチャーフロントである。津谷市長とは目指す山岳観光の思考に多少のずれを感じたが、その市長が納得するまでプランの提案を継続したい。 2013.6.1